火を司るかまど神
ガスや電気のなかった頃、日本の家には土や石で固めたかまどがありました。かまどにごはん釜や鍋をかけて、薪で火を起こし、調理したのです。家庭の象徴のようなあたたかい場所である一方、当時の日本家屋は木と紙で作られていたためたいへん燃えやすく、類焼もしやすかったため、火事を出すと七代たたる、などと言われていました。火は生きていくうえでなくてはならないものですが、反面、恐ろしいものでもあったのです。
そこで、人々は、かまどの神さまを大切にするようになりました。お札をかまどのそばに貼り、神さまを怒らせないよう燃えやすい炭のくずなどを片づけ、食べ物も、できるだけゴミを出さないようにしたものです。何よりも恐ろしいのが火事だったので、かまどの神さまこそが家の守り神だとする地方、家もあります。